2014年12月28日|マレットフィンガー
先月の11月末に電話で相談を受け来院された、埼玉在住の20代後半の男性から再度お電話を頂き、12月末に再来院された。
患者さんは平成26年8月17日にバスケットボールでボールを受けた際に右手の薬指を受傷されました。初めは整骨院を受診され、超音波エコー観察で腱が切れ掛けているという曖昧な説明を受けられたようでした。その後途中で別の接骨院に転療された後に、骨折をしているのではないかと考えられ整形外科を受診されました。レントゲン検査を受けられましたが骨折は認められず、整骨院・接骨院と同様に腱の断裂である腱性マレットフィンガーの診断を受けられたとのことでした。
お聞きしたところでは、一定期間の固定によりDIP関節は伸展してきたのですが屈曲制限が気になり、時々ご自分の反対の手で押し込むように曲げていたそうで、折角第一関節が伸びたのに20度程曲がって来てしまったご様子でした。
電話で相談を受けた際に固定を継続されるように指示して、数日後の11月28日に来院された伸展の状態と屈曲の状態が以下の写真です。
第一関節の伸展状態は良好ですが、屈曲制限はかなり有ります。しかしながら、6~8週間の伸展位固定を施して、第一関節の曲がりが悪くなるのは当然です。年齢にもよりますが元通りに完全屈曲が出来るようになるには、リハビリをしても必ず1~3か月程度の時間が必要です。長い方では6か月以上を要する場合もあります。
患者さんのお仕事はパソコン作業ということなので、就労時に強く手を握ることはなさそうですし、ご自分での曲げる練習は入浴時のみに限定して、ご自身の握力での訓練に留めて頂くようにお願いしました。また、暫くの期間はこちらで作成したシーネ固定を夜間のみして頂くようにお願いしました。
遠方でもあり、それから暫くは連絡がなかったのですが、12月末にまたお電話を頂き再診してほしいとのことで、数日後に来院されました。
12月28日に来院された伸展の状態と屈曲の状態が以下の写真です。
DIP関節の伸展状態は前回よりやや屈曲しているようですが、屈曲制限は改善傾向です。それでも患者さんは曲がり具合が不充分であることを気にされていて、伸展もやや不充分なため納得されていないご様子でした。
前回来院された際にご自分の反対の指で患部の指を押し込むことはしないようにとお伝えしたのですが、曲がり具合が悪いのを気にされて、やはり曲げようとされているご様子でした。
来院された際も「なんで完全に曲がらないのか」と呟きながらグイグイと右手の薬指を左手で押し、曲げようとされていたので思わず静止しました。
私は曲げられない方が気になるのかと思い「Sさんあなたは、曲げる方をよく治したいのですか、それとも伸ばす方をよく治したいのですか?」とお聞きました。
すると、Sさんは「どちらもよく治したいですね」と微笑みながら言われました。
患者さんの心理(心情)というものは
①可動域制限が殆ど無くなること。つまり後遺症が最小限に治ること。
②出来る限り早く治ること。
それが希望であり、それに尽きると思います。
しかし、Sさんの場合にはこの腱性マレットフィンガーに関する正しい情報が得られず病態の理解が難しくなってしまったため難渋してしまったケースと思われます。
年齢からしますと適切な固定処置での固定期間と適切な期間での固定除去後の機能訓練と夜間固定をしていれば約3か月でほぼ完治していたと思われます。
当院に来院された際にはすでに3か月以上が経過しており、写真のような状態でしたが、約1か月後の来院時には屈曲がかなり改善しているのがお解り頂けます。
指の関節の可動域障害(関節拘縮)の改善には時間を要しますが、かなりの改善が見込めます。
☞人間の指はとても繊細ですが不思議な回復力を持っています。
「諦めずに夜間固定を継続して入浴時の屈伸運動を継続して頂ければ(無理な屈曲運動はせずにですが)年齢的にはほとんど気にならない程度に関節の可動域は回善します」とご説明して、また1月の末に来院頂くようにお伝えました。
何はともあれ、焦らずにしっかり治しましょう。お大事に。
大船駅東口より徒歩1分
急患応需
大船接骨院
院長 佐藤和義
先月に来院された腱性マレットフィンガーの男性が再来院の続きを読む
2014年12月21日|アキレス腱断裂
昨日の早朝、8時予約の患者さん3名の治療中に、60代の男性から電話を頂きました。
12月19日の金曜の午前中、久しぶりに始められたテ二スで左アキレス腱を断裂され、開業整形外科に掛られたが手術は当院では出来ないため、紹介状を書くので別の病院で手術をしてもらうように言われたとのこと。
静岡県の近隣の接骨院などに問い合わせて保存療法を希望されたが受け入れて下さるところはなかったご様子。
当院までは電車で1時間30分程で通院が可能ということなので、治療をお受けすることにしました。
(大船駅は電車のアクセスが良いのですね。 現在通院中の患者さんは東京から2名、川崎から1名、横浜から2名、鎌倉市内から2名で市内の方よりも市外の方が多く来院されております。)
というわけで、
現在、通院中のアキレス腱断裂の患者さんは男性が5名、女性が2名で、早朝や昼休みに治療をしております。
固定期間中の患者さんは1名ですが、通院中の患者さんにご迷惑を掛けてしまうため11月に引き続き暫くの期間は、新患の固定を必要とするアキレス腱断裂の患者さんは大変申し訳ございませんがお受け出来ませんので、ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。
尚、アキレス腱断裂のギプス固定後や手術後の固定を終えた方で、関節の硬さなどに対するリハビリをご希望の方は、治療をお受け出来ますので、電話またはメールでご相談頂き来院ください。
大船駅東口より徒歩1分
☎0467-45-6700
大船接骨院 院長 佐藤和義
テニスで左アキレス腱断裂の男性患者さんが明日来院の続きを読む
2014年12月10日|マレットフィンガー
他医より転療された30代の男性で、ご職業がパテシェをされている患者さんの治療を12月10日に終了した。負傷の原因は自転車での転倒で、整形外科にて左手薬指の腱性マレットフィンガーの診断を受けられ、38日間(5週間と3日)のアルフェンス背側固定除去後に屈曲変形を呈し、それから6日後に来院された。
【下の写真は10月29日の来院時(受傷から44日目)】
当院に来院されるまでの6日間は患者さん自身で簡易テーピング固定をされていたが、就労されると20度以上DIP関節が屈曲してしまうと訴えられ、伸筋腱の癒合と伸展力が不充分であるため掌側シーネで再固定を施した。
☞通院は勤務先(川崎)のお店が休みの水曜日のみで、週に1回でした。
【来院から29日後(受傷から73日後)】完全伸展可能
【DIP関節の屈曲は45度可能】
ご職業がパテシェで手を握る動作を繰り返される為、日中は伸縮性テーピングで
作業をして頂き、夜間シーネ固定は継続。起床後と帰宅後のDIP関節の伸展の状態を比較するようお願いした。帰宅後のDIP関節の伸展状態に変化が有れば、また半日程度はシーネで再固定をお願いした。また、毎晩の入浴時の機能訓練(屈伸運動)を指導した。
【12月10日(受傷から87日後)治療終了時の伸展状態。DIP関節の伸筋腱断裂部の組織修復部に肥厚(膨隆)があり、僅かに完全伸展不充分ではあるが、
起床後の夜間固定除去後は完全伸展しているとのこと。】
【DIP関節の屈曲制限はほぼ消退している】
クリスマス前の繁忙期のため翌週からは休みが取れないとのことで、12月10日で治療を終了したが、年内一杯はお仕事で手を使うことも多いようなので、夜間シーネ固定は継続して頂くようお願いした。
☞30代前半の方で、5週と3日ではいくら若くても全日の固定除去は早過ぎたようです。腱性マレットフィンガーを受傷された若い20代から30代の方では、おおよそ6週間で完全伸展が可能となりますが、患者さんの職業によって固定期間を考慮しませんとDIP関節は必ず再屈曲してしまいます。しかしながら、多少再屈曲しても焦ることは有りません。また全日シーネ固定を施し、完全伸展が出来るようになったら、日中は伸縮性テーピング固定、夜間はシーネ固定を継続して経過観察をしていけばこの患者さんのように必ず良くなります。
ご職業がデスクワークの方ならまだしも、パテシェで手をかなり使われる方でしたので8週間の全日シーネ固定が必要だったと思われます。また、一定期間の日中の伸縮性テーピング固定が必要で、夜間シーネ固定を長めにすることがとても大事です。
毎週水曜日、運動不足解消とは言え、自転車で片道2時間も掛けて通って下さりお疲れ様でした。これからも美味しいスイーツを作られて、お客さんを笑顔にして下さい。お大事に。
大船駅東口より徒歩1分
大船接骨院
院長 佐藤和義
腱性マレットフィンガーのパテシェの男性患者さんの治療を終えるの続きを読む